1-2『ゴブリンとの初戦闘〜東の街へ』
同僚「やっと交代だ…塹壕は入ってるだけで疲れる…ん?」
自衛「………」ガチャガチャ
同僚「お前まだ起きてたのか?っていうか、夜中に銃ばらすのやめろよ…」
自衛「眠れるかってんだ…考えるなって言われても考えちまうしよ…」
同僚「そうだけどさ、徹夜なんかしたら明日もたんぞ。」
自衛「わかってる…それより、空…見たか?」
同僚「見たよ…」
自衛「気味が悪りぃ………月が三つもある…」
同僚「綺麗だと思うがな。」
自衛「ゲテモノだなおい。」
同僚「ひどい言われようだな!…まあいいや、お休み。」
自衛「ああ、お休み。」
?「………」ガサゴソ
自衛「異常なし!って当たりか、夕飯前に点検したばっかだもんな…」
自衛「ふがぁぁぁ…いい加減寝るか…」
ピィィィィィ!ピィィィィ!
自衛「おわっ!?歩哨の警笛?なんかあったのか!?」
ダーンダーン!ボウボウボウ!
自衛「銃声!?クソッ!」ダッ
塹壕
隊員B「なんなんだあいつらは!」ダンダンダン
自衛「隊員B、無事か!?何があった!?」ザザッ
隊員B「て、敵襲です!森の出口から、なんだよあれ!?」
自衛「落ち着け!ナイトスコープをよこせ…なんだありゃ…」
ゴブリンA「ギュィィ!」
ゴブリンB「キィィ!」
自衛「…ゴブリンってやつか?斧持ってやがる…
」
ゴブリンC「キッ!」シュッ
隊員C「!?ぐぁぁぁぁ!?う、腕がぁ!」
隊員B「た、隊員Cの腕に斧が!」
自衛「落ちつけ!かすっただけだ、止血しろ!」
一曹「自衛!状況は!?」ザッ
自衛「森の出口からゴブリンの襲撃です!数、およそ20!隊員C二等陸士が負傷!」
一曹「ゴブリンだと…本当にゲームの世界だな、応戦準備!
軽機を設置して奴らを掃射しろ、手空きは隊員Cを後ろへ!」
隊員B「くそっ、当たれ!」ダンダンダン
自衛「闇雲に撃つな!よく狙え!」ダン
ゴブリンC「ギィ!?」バシュ
自衛「次だ…」
同僚「どけどけ!軽機を設置する!」
自衛「うお!来たか。」
同僚「しっかり固定しろ!」
隊員A「弾薬準備よし!」
同僚「撃ち方始め!」
ドドドドドドドド!!!
ゴブリンA「ギ!」
ゴブリンB「ギュィィ!?」
ゴブリンC「ギァ!?」
自衛「まだ突っ込んでくるぞ!」ダンダン
隊員B「士長、FVが前に出ます!」
キュラララララ…
FV車長「ナイトビジョンに異常なし、弾薬は?」
FV砲手「装填完了しました。」
FV車長『総員へ、目標を機関砲で掃射する。
付近に展開中の隊員は耳を塞げ。』
FV砲手「照準よし、発砲開始。」
ボウボウボウボウ!
ゴブリンE「ギギャッ!?」
ゴブリンF「ギャッ!」
隊員B「こ、粉々に吹き飛んだ…」
同僚「奴らが逃げ出します!」
一曹「逃がすな!処理を、可能なら捕獲しろ!」
ドドドド!
自衛「見ろ、シキツウだ。」
同僚「機銃についてるのは偵察か。」
偵察「逃がすかよ!」ドドドド
ブォォォォ!
自衛「装甲車が両翼から回る、照明弾を上げろ!奴らを追い詰める!」
ヒュルルルルル、バーン!
ゴブリンG「キキッ!」
ゴブリンH「キキィィ!」
自衛「やつらパニックを起こしてるぞ、前へ!奴らを処理しろ!」
ドドド!ダンダンダン!
キュラララララ…___
翌朝__
自衛「こりゃ、ひどいな…」
偵察「吐きそうだぜ…」
隊員A「一曹、彼らの中に生存者は確認できませんでした。」
一曹「そうか…しかたあるまい、こちらの被害は?」
隊員A「一名が軽傷、二名が体調不良、それ以外に人員、装備に損害はありません。」
一曹「わかった、ありがとう。」
隊員A「では、失礼します。」
一曹「自衛、どうする?こんなことになったし、街の調査は延期するか?」
自衛「いえ、大丈夫です。むしろこんな事態が起こった以上、
より早急に情報を入手しないと、ヤバイかもしれません。」
一曹「それもそうだな、わかった頼むぞ。こっちは陣地を強化しないといかんな…」
二時間後、偵察部隊は街へ向け出発。
ジープ一両で向う予定だったが、万一に備えFVが同行することとなる。
ゴォォォォ…
自衛「FVへ、こちらジープ。視界に不審物無し。」
FV車長『FV、了解。』
隊員B「で、結局あいつらはなんだったんでしょう?」
自衛「知るかよ、食いもんでも狙ってきたんじゃねぇのか?」
隊員B「あの光景…しばらく夢に出そうですよ…」
同僚「でもあれでよかったかもな。昨日の村は無事だったらしいけど、
奴らが私達の所に流れてこなかったら、
きっとあの村が教われてたな…
」
隊員B「まあ、そうかもしれませんけど…」
偵察「…あ、おい、あれじゃねーか?目的の街って。」
同僚「ちょっと待て…ああ、あれだな。周辺の地形が、教えてもらった特徴と一緒だ。」
隊員B「何かわかればいいですね。」
自衛「…おいちょっと待て。」
偵察「どうした?」
自衛「よく見ろ…あれ、煙あがってないか?」
偵察「何!?」(双眼鏡を覗く)
同僚「どうなってる?」
偵察「…マジだ、街から煙がいくつも上がってる!」
自衛「FV、停車してくれ!目標の街から煙が上がってる!」
FV車長『なんだと!?』
キュラララ…ガコッ…
FV車長「どういうことだ!?」
自衛「わかりません…ですが、十中八九厄介ごとでしょう…どうします?」
FV車長「…行ってみるしかあるまい」
自衛「了解、自分達がジープで先に行きます!隊員B、お前はFVに移れ!」
隊員B「はい!」
FV車長「気をつけろ、無理はするな!」
自衛「了解!」
街の入り口
偵察「………ひっでぇ」
同僚「…倒れてるのは、この街の衛兵か…」
自衛「警戒しろ、何が出てくるかわかんねぇからな。」
ブォォォォ!
偵察「ここも人の気配がないぜ…」
同僚「なぁ、あれ…」
ゴブリンA「キキィ」
ゴブリンB「キィー」
偵察「また奴らか、クソッ!」ジャキッ
同僚「待て…あいつらなにしてるんだ…?」
ゴブリンA「キキキィ」
ズルッ、ゴロッ…
同僚「うッ…!?」
偵察「な、人の…首だ…!」
ゴブリンB「キキー」
同僚「なんてこと…痛!?」
ギュィィィィィ!
偵察「おわっ!?」
同僚「ちょ、自衛?」
自衛「そのままアクセル踏み続けろ!跳ね飛ばしてやる!」
同僚「ちょっ!?」
ボカァッ!
ゴブリンA「ギュギッ!?」
ゴブリンB「ギッ!」ゴガ
同僚「一匹ボンネットに!」
自衛「俺がやる!」
ゴブリンB「ギュ…ギ!?」ムンズ
自衛「野郎!」ゴッガッ
ゴブリンB「ギュガッ!ギュゥ!」ゴチュグチャ
同僚「お、おい、お前…!」
ゴブリンB「ギゴ…」
自衛「…あばよ」ブン
ゴキッ、ゴロゴロゴロ…
同僚「何もそこまで…」
自衛「感傷に浸るのは後だ!まだ来るぞ!」
ゴブリンC〜K「キィィキィィィ!!」
偵察「おわーッ!どんだけ沸いて出てくんだよ!?」
自衛「掃射しろ!同僚、奴らに向って突っ込め!」
同僚「またか!?くそ!」
ブォォォォ!
偵察「くらえオラァァァァ!」
ドドドドドドドド!
ゴブリンF〜I「ギュキィ!?」
自衛「そーれ、贈り物だ!」キンッ
ヒュッ___ボッガァァァァン!
ゴブリンC〜K「ギャギュィーーー!!!」
キィィ!ブォォ…
自衛「処理完了だ。」
偵察「嫌になるぜまったく…」
同僚「はやいとこ通り抜けよう…」
ゴブリンC「ギュ…ギュギィ!」ダッ
同僚「あ、一体逃げる!」
偵察「なんつー生命力だ、クソッ!」ジャッ
ヒュッ
ゴブリンC「ギュ…!」バタッ
偵察「なんだ?俺まだ撃ってないぞ?」
自衛「勝手に倒れやがった。」
同僚「何かが飛んできたように見えたが…」
?「何者だ、あんた達?」
同僚「!?」
ダッ
偵察「おわっ、民家の上から!」
自衛「高い所好きだな、ここの連中…」
?「上から見させてもらってたが、ずいぶん奇特な魔法を使うんだな、
それになんだいその勝手に動き回る荷車は?」
偵察「魔法じゃねぇんだがな・・・」
同僚「あの、すまないが君は?」
?「失礼、俺は猟師、旅の者だ。あんたらこの街に何のようだ?」
自衛「ああ、この街で物資の調達ができないかと思ってな。」
猟師「じゃあ、あんたらも旅人か?」
自衛「そんな所だな。」
猟師「その割には色々と奇妙な気がするが、まあいいか。」
同僚「なあ、この街でいったい何があったんだ?」
猟師「この街は山賊の襲撃にあったのさ…」
同僚「山賊の襲撃!?」
猟師「昨晩のことだ、街が寝静まった頃合を見計らって、
襲撃を仕掛けてきたんだ。」
自衛「そういうことか…あのゴブリンも山賊の仲間なのか?」
猟師「ああ、正確には山賊共が利用してっるて感じだがな。
どうにも、山に潜んでたゴブリンの縄張りの長が死んだらしい。
それで、分裂したゴブリンの一部が山賊に協力してるみたいだ。」
偵察「…なあ、昨日陣地を襲ったゴブリンって…」
自衛「分裂した奴等の一部だろうな。」
猟師「ともかくそんな状況だ、この街で物資の調達はあきらめて、
ここを離れたほうがいいぜ。」
自衛「…待て、あんたは昨晩からずっとこの街にいるのか?」
猟師「正確には二日前からだ。俺はこの街とはいろいろあってな、
黙って出て行くわけにはいかねぇんだ。」
同僚「いろいろって…?」
猟師「話が長くなったな…とにかくあんたらはとっとと帰れよ。」バッ
同僚「あ、おい!…行っちまった…」
偵察「見ろよ、屋根伝いに…すげぇ身体能力だ。」
同僚「どうする、自衛?」
自衛「このまま帰るわけにはいかねぇだろ、もう少し調べるぞ。」
街の中心部
同僚「……酷いな」
偵察「死体がそこらじゅうに…煙と混ざって酷い臭いだ…」
自衛「死体はなるべく轢くな…」
偵察「さっきの奴は山賊が襲ってきたって言ったけどよ、
山賊どころが生きてる人間は見当たらないぜ…」
同僚「もう、略奪しつくして引き上げたとか。」
自衛「かもしれないが…あ、同僚、そこ右に曲がれ。」
同僚「はいよ。」
バッ
少年「う、うわッ!」
同僚「どわッ!?」
キキィ!
同僚「あっぶな!…え、子供?」
自衛「あだだ…お、おい坊主、急に飛び出してくるんじゃねぇよ…」
少年「あ、あ…」
自衛「いや、そんなビビらんでも…」
偵察「待てよ、向こうからなんか来るぜ…」
山賊A「待ちやがれ小僧!」
山賊B「逃がすな!」
同僚「あれは…!」
偵察「たぶん見たまんまだぜ!」
少年「き、来た、うわ…!」
自衛「坊主、乗れ!」ガシッ
少年「え?わぁ!?」ブンッ
山賊A「おいなんだ、あいつら?」
山賊B「妙なナリだぜ…まあいい、おい!そのガキ渡せやぁ!」
少年「ひっ、く、来る!」
偵察「隠れてろ、失せろだらぁぁぁ!」
ダダダダダ!
山賊A「ゲッ!?」
山賊B「ガァ!」
少年「あ…え…?」
バタバタ
山賊C「おい、ガキはどうし…なんだこりゃ!?」
山賊D「見ろ、なんだあれ!?」
自衛「同僚、発進させろ!」
ギュィィ、バォォォォ!
山賊C「うわ!?なんだ向ってくるぞ!」
ドドドドド!
山賊C「ぎゃ!?」
山賊D「ぐぁ!?」
自衛「そのまま走り抜けろ!」
ブォォォォ!
少年「………」
自衛「坊主、大丈夫か?」
少年「!…は、はい…」
同僚「心配するな、君の敵じゃない。君はこの街の住人か?」
少年「はい…あ、あの!助けてください、お、お兄さんが!」
自衛「お兄さん?君の兄貴か?」
少年「い、いえ!僕を山賊から逃がしてくれた猟師のお兄さんがいるんです!
でも、お、お兄さんが山賊に囲まれて!」
偵察「おい、それってもしかしてさっきの…」
自衛「それはどのあたりだ?」
少年「市役所、あの大きな建物の近くです!」
自衛「…あれか、同僚、飛ばせ!」
同僚「了解!」
猟師「ぜぇ…ぜぇ…!」
山賊リーダー「なんて奴だ、ひとりで十人も伸してくれやがって…
だが、そろそろ限界みたいだな、傷も痛ぇだろ?」
猟師「くそッ!」
山賊リーダー「あのガキも捕まってる頃だろう、いい加減終わりに
させてもらうぜ。」
山賊E「へへ、たっぷりいたぶってやる。」
猟師「ッ!」
山賊F「り、リーダー!」
山賊リーダー「どうした?」
山賊F「向こうからなんか来ますぜ!」
山賊リーダー「何だと?」
ブォォォォォォォ!
山賊リーダー「なんだありゃ…?」
猟師「あれは…!」
自衛「猟師!頭下げろ!」
猟師「!」(その場にしゃがむ)
ドドドドドドドド!(MINIMIの射撃音)
山賊G「ぎゃぁぁ!?」
山賊H「ガハァ!」
山賊I「うぎゃっ!」
山賊リーダー「なんだぁ!?何が起こった!?」
キキキキキィ!(急ブレーキで停車する)
自衛「どけや、オラ!」
ダダダダダ!(小銃の発砲音)
山賊J「ぐぁ!」
山賊K「がああ!」
猟師「すごいな…」
ごちゃごちゃするな…
自衛「おい、猟師!無事か!?」
猟師「あ、ああ、なんとかな…」
自衛「乗れ、ここを離れるぞ!」
山賊E「り、リーダー…なんなんすかあいつら!」
山賊リーダー「知るか!くっそ、逃がすと思ってんのかよ!」
ピィィィィィィィィ!(笛の音)
偵察「何してんだアイツ?」
同僚「あ、おい!道の先を見ろ!」
ドカドカドカ!
山賊の集団が音を立て迫ってくる
山賊L「こっちだ!」
山賊M「急げ!」
偵察「げ、増えやがったぞ!」
猟師「おい、屋根を見ろ!」
ゴブリンD「キィ!」
ゴブリンE「キキィ!」
猟師「ゴブリンの群れだ!」
偵察「なんつー数だ、やばいぞ!」
自衛「突破するしかねぇ!同僚、出せ!」
同僚「クソッ!」
FV車長『(無線)ザザザ…自衛、聞こえるか?こちらFV、今どの辺りにいるんだ?』
自衛「FVか!?こっちは今、山賊の大群と交戦中!
そっちこそどこにいるんだ!?」
少年「!?」
猟師「な、なんだ突然?」
FV車長『山賊だって?こっちは市街地を進んでる、すぐ近くに
左右対称の大きな建物が見えるな。』
自衛「それだ!俺達はその建物のすぐ真下だ!」
FV車長『何、こっちも近くにいるぞ。えーと…ああわかった待ってろ、
そっちに向う、何すぐだ。』
山賊リーダー「なんだあいつ?一人で意味わかんねぇことを…
かまわねぇ、殺せ!」
山賊E「リーダー…な、なんか妙な音が…!」
山賊リーダー「何?」
ミシミシミシミシ…
猟師「なんの音だ…?」
ゴアッシャァァァァァン!!!
山賊リーダー「おわぁぁぁぁぁぁ!!!?」
少年「ひっ!?」
猟師「!?」
民家が盛大に崩れて、FVが現れる
山賊E「ば、化け物だー!!」
FV車長『大当たりだ!自衛、発砲するから下がれ!』
自衛「同僚、後退しろ!」
急速後進で後退するジープ
偵察「どっから出てくるんだよ、あいつは!」
同僚「民家を破壊して、突っ込んでくるなんて…」
ボウボウボウボウ!!!
FVが山賊に向けて機関砲を撃つ
山賊リーダー「ぎゃぁぁぁぁ!?」
山賊E「ぎゃばぁ!?」
山賊F「ぎぇふっ!」
猟師「一体なんだ、あの化け物は!?」
自衛「落ち着け、あれは俺達の仲間だ!」
猟師「仲間…?あれが?」
FV砲手「左から十数名が接近中。」
FV車長「砲塔旋回、捉えたら発砲しろ。」
FV砲手「了解。」
ウィィィィ…(砲塔旋回音)
FV車長「発砲!」
ボウボウボウボウボウ!!!
山賊L「ぎゃぁぁ!」
山賊M「ぎゃはぁぁ!?」
山賊十数人がはじけ飛ぶ
FV砲手「着弾を確認。」
FV車長「同軸機銃で制圧射撃、操縦手、車体を旋回させろ。
隊員を降車させる。」
FV操縦手「了解。」
キュラララララ…
車体が旋回し、後部扉が開く
隊員B「降車戦闘だ、ゴブリンを撃退する!」
衛生「建物の屋根だ!降りてくるぞ!」
衛生がゴブリンに向けて発砲
ゴブリンD「キィィ!?」グシャ
衛生「まだ来るぞ!」ダダダ
ゴブリンE「ギッ!」バシュ
降りてくるゴブリンを迎撃するも、数体が突っ込んでくる
ゴブリンF「キキィ!」
隊員B「まずい、接近してくる!」
隊員D「俺がやる!」
ボン!(散弾銃の発砲音)
ゴブリンF「ギェッ!?」
隊員D「次!」ボン
ゴブリンG「ギョァ!」
衛生「まだ、屋根の上にいるぞ!」
隊員B「吹っ飛ばします!」
隊員Bが市役所の屋根に向けて、てき弾を発射
ドシュッ…ズガァーーーン!
ゴブリンH「ギョァーー!」
ゴガッ!ドサドサ!
崩れた瓦礫とゴブリンの死体が降り注ぐ
隊員B「わっ!やばっ、危な!」
隊員D「あだっ!お前…もうちょっと考えて撃てよ!」
猟師「…なんて奴らだ」
偵察「南から山賊がくるぞ!」
ダダダダダダダダ!(偵察がMINIMIを撃つ)
山賊N「ぎゃぁ!」
山賊O「がっ!」
衛生「手榴弾行くぞ!」キン
ヒュンッ…ドッガァーーーーン!!!
山賊集団「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
手榴弾の爆発で山賊の集団は沈黙した
少年「………」
猟師「………」
自衛「…周辺に敵影なし…状況終了!」
隊員B「士長!大丈夫ですか!?」
自衛「おかげさまでな、助かったぜ。」
猟師「…あんたら…本当に何者なんだ…」
自衛「話すと長くなるが…その前に、この街の生存者は他にいないのか?」
猟師「生き残った住民は北側の避難所に非難させてある…」
自衛「よし、先にそこに向おう。衛生、こいつの怪我をみてやってくれ。」
住人「市長!何か妙な物がこっちに向ってきます!」
市長「妙なもの…な、なんだあれは…!」
ギュララララララララ…
住人「山賊共の用意した怪物でしょうか!?」
市長「なんということだ…応戦だ!女子供を隠せ!」
住人「あ、市長!待ってください!」
猟師「おーい!市長さん、俺だ、猟師だ!」
市長「あれは…猟師さん、それに少年も!」
猟師「心配しないでくれ!山賊共は撃退した!もう大丈夫だ!」
ガララララ!(バリケードの開く音)
少年「市長さん!」
市長「少年!よかった無事だったか!飛び出していったときは心配したぞ…」
少年「すみません…でも…」
市長「わかってる、ともかく無事でよかった…」
猟師「市長さん、そちらは大丈夫でしたか?」
市長「おお、猟師さん我々のほうは大丈夫です、あなたも無事でよかった。」
猟師「ありがとうございます。」
市長「ところで…彼らは?それにあの怪物は一体…」
猟師「正直、私にもさっぱり…しかし、彼らがいなければ私も危なかった。
山賊を撃退してくれたのも彼らなんです。」
市長「なんと…」
自衛「どうも、あなたがこの街の代表者か?」
市長「はい、この街を治めています、市長と申します。あなた方は…?」
自衛「失礼、陸上自衛隊、自衛陸士長です。」
市長「…は?…りくじょう…?」
自衛「いえ、自衛で結構です…」
同僚「もう、自衛隊は言わなくてもよくないか?」
自衛「一応な。」
市長「…そうですか、物資の調達が目的で。」
自衛「ええ、ですがこんな事態になっているとは。」
市長「申し訳ございません、せっかく足を運んでくださったのに…
今回のことは全て私の責任です…」
猟師「何を言うんです!奴らが襲撃してこなければ、こんなことにはならなかった!
市長さん、あなたのせいじゃない!」
市長「山賊の噂は前々から耳にしていました、もっとはやくに
対策に乗り出すべきだった…」
自衛「…ちょっといいですか、あの山賊の集団はいったいどこから?」
市長「おそらく、南東の山の頂上にある村からでしょう…」
自衛「山って…こっから見えてるあれか!?」
同僚「街から3kmくらいしかない…目と鼻の先だぞ…」
市長「いえ、もともと山頂の村はこの街のものでして、
山に入る猟師たちの拠点として使っていたんです。」
同僚「それがなんでまた?」
猟師「あの山賊は元々、隣国の"月詠湖の王国"から流れてきた連中だ。
こっちに来る途中でゴブリン達を吸収して戦力を増強、
拠点としてあの村を奪ったんだ。」
市長「一昨日、村からの定期連絡がこなかった時点で、気がつくべきでした…」
自衛「つーことは、その村にはまだ山賊がいるわけか。」
市長「おそらく…」
猟師「村を襲ってきたのは全体の三割くらいだろう…」
偵察「げ、そんなにいるのかよ…」
市長「さらに悪いことに、住民のうち何人かが奴らに
連れて行かれてしまったんです…」
偵察「最悪だな…」
同僚「どこかに…たとえば国とかに救援を求められないんですか?」
市長「もちろん、襲撃と同時に伝令を出しました、しかし一番近い騎士隊のいる街まで、
馬をとばして丸一日かかります…往復の時間を考えると…」
同僚「八方塞がりか…」
市長「悪いことはいいません、なるべく早くこの街を離れたほうがよろしいかと…」
自衛「………」
避難所
自衛「…以上が我々が今いる街のだいたいの状況です。」
一曹『なんてこった…』
自衛「この世界は、我々が予想しているよりも遥かに物騒な世界のようです。」
一曹『だな…それで、お前はどう見る?
正直、俺は荒事は極力避けたいと思っているが…』
自衛「自分も同意見ですが、救援が来るには時間がかかりすぎます。
究極この街を見捨てたとして、その後奴らが我々の元に流れてくるのは明らかでしょう、
早いか遅いかの違いです。」
一曹『仕掛けるしかないか…わかった、増援をそっちに向わせる。
それまで待機しろ。』
自衛「了解、交信終了。」
ザザー
自衛「そういうわけだ。」
偵察「だろうとは思ったよ。」
同僚「増援がくるのに一時間と少しか…」
FV車長「その間に飯でも食うか。」
同僚「ご自由に…」
猟師「………」ウロウロ
自衛「どうした猟師、探し物か?」
猟師「ああ、物っていうか人なんだが…この街に一緒に来た連れがいるんだ。」
自衛「そうか…ん?」
少年「………」ググ
自衛「どうした坊主、山のほう睨みつけて?」
少年「…少女が…少女があいつらに…」
同僚「少女?」
猟師「その子の友達さ。市長の娘で、襲撃の時に山賊共にさらわれたんだ。
市長もつらいだろうに…」
同僚「そんな…」
偵察「じゃあ、あいつが街の中をうろついてたのは。」
猟師「その子を取り返そうと、飛び出してきたんだろうな…」
自衛「………」
?「少年!」
少年「!…母さん…」
母「よかった!…もう、心配かけて…!」
少年「母さん、僕…何もできなかった…少女が…!」
母「大丈夫、大丈夫よ…ほら、少し休んでいなさい。」
少年「うん…」コツコツ
母「…あの!猟師さん、大事なお話が!」
猟師「はい、何か?」
母「剣士さんが!剣士さんが少女ちゃんを助けに山賊たちの所に!」
猟師「な…なんですって!?」
母「私が、私が剣士さんに話さなければ…!」
猟師「落ち着いて!どういうことです!?」
母「私が少女ちゃんがさらわれてしまったことを、剣士さんに相談したんです…
そしたら剣士さん、山賊のアジトに乗り込んで助けてくる、って!」
猟師「な、無茶だ!あいつなんてことを…!」
自衛「剣士って、お前さんの連れか?」
猟師「ああそうだ、正直俺よりもかなり強い奴だが…それでも…
剣士は一人で行ったんですか!」
母「いえ、何人か同行を名乗り出る人達がいて、その人達と一緒に…」
偵察「だとしても無謀だぜ、やつらは十人や二十人じゃねぇんだぞ。」
母「ごめんなさい、わたしのせいで…」
猟師「なんてこった…くそっ!」バッ
自衛「あ、おい!」
偵察「まーた、行っちまった…」
衛生「どうします?なんか、放って置くわけにはいかない雰囲気ですけど。」
自衛「代弁してくれてありがとうよ…三曹、移動準備をしてください!」
FV車長「何!?またなんかあったのか?」モグモグ
自衛「早急に山頂を制圧しなければならなくなりました、
とりあえず麓まで移動します。」
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